「周りに気を遣いすぎて、自分のことは後回しになっている」
そんなふうに感じていませんか?
がんばりすぎている人ほど、「自分を大切にすること」が後回しになりがちです。その状態が続くと、心に余裕がなくなり、人間関係や日常に疲れやすくなってしまいます。
「自分を大切にする」とは、わがままになることではなく、自分の気持ちに気づき、無理をしすぎないように整えることです。
この記事では、自分を大切にする本当の意味と、今日からできる具体的な方法を分かりやすく紹介します。できそうなことから、少しずつ取り入れてみましょう。
そもそも「自分を大切にする」とは?本当の意味

「自分を大切にしよう」という言葉を、本やSNSで目にする機会は多いですよね。けれど、いざ実践しようとすると「具体的にどういうこと?」と悩んでしまう方も少なくありません。
まずは、多くの人が誤解しがちな「本当の意味」について、2つの視点から優しく紐解いていきましょう。
- わがままではなく「自分を主役にする」こと
- 自分の「小さな本音」に耳を傾けること
ここから、それぞれの意味について詳しく解説します。
わがままではなく「自分を主役にする」こと
自分を大切にすると聞くと、「他人のことを考えずに、好き勝手に振る舞うこと(わがまま)」のように思えるかもしれません。しかし、この2つは全くの別物です。
| 種類 | 意味合い |
|---|---|
| わがまま | 他人の気持ちを無視して、自分の思い通りにまわりを動かそうとすること |
| 自分を大切にする | 他人の気持ちも尊重しながら、「自分の人生の主役は自分だ」と認めてあげること |
たとえまわりの意見と違っていても、「私はこうしたいな」「私はこれが心地いいな」という自分の軸を真ん中に置いておくイメージです。
まわりの人を大切にするのと同じくらい、まずはあなた自身の心を満たしてあげる。それは決してわがままではなく、幸せに生きるための大切な一歩です。
自分の「小さな本音」に耳を傾けること
自分を大切にするというのは、何も「特別なご褒美を買う」といった大きなイベントだけを指すわけではありません。
一番大切なのは、日常のなかにあふれるあなたの「小さな本音(心の声)」に気づき、寄り添ってあげることです。
「本当はちょっと疲れたから、今日の夜はお惣菜で済ませたいな」「気が進まないから、このお誘いは断りたいな」といった、日々のなかの小さな「〜したい」「〜したくない」という本音を、頭で消し去ってしまわないでほしいのです。
「そっか、今疲れているんだね」と、親しい友人の愚痴を聞くときのように、自分の味方になって受け止めてあげること。それこそが、自分を大切にするということの本質です。
自分を大切にできない人に共通する原因

「自分を大切にしたい」と思っていても、なぜかいつも後回しにしてしまう……。そこには、無意識のうちに心がブレーキをかけている原因があります。
まずは、自分を大切にできなくなってしまう主な原因を見ていきましょう。
- 「自分さえ我慢すればいい」と思い込んでいる
- 完璧主義で「できない自分」を責めてしまう
- 他人の評価や「どう思われるか」を気にしすぎている
ここから、それぞれの原因について詳しく解説します。
「自分さえ我慢すればいい」と思い込んでいる
優しい人や責任感が強い人ほど、まわりとの摩擦を避けようとして「私が少し我慢すれば、すべて丸く収まるから」と考えがちです。
しかし、自分の気持ちを抑え続ける日々が日常になると、心には見えないダメージがどんどん蓄積されていきます。
気づかないうちに「我慢することが当たり前」という麻痺した状態になってしまう前に、「私は今、無理をしているかもしれない」と、自分の心の痛みに気づいてあげることが大切です。
完璧主義で「できない自分」を責めてしまう
「もっとがんばらなきゃ」「ちゃんとしなきゃ」という理想が高い人ほど、少しでもできない部分があると、激しく自分を責めてしまいます。
100点満点の完璧な自分を目指すあまり、すでに80点分がんばっている自分の努力を、自分自身で認めてあげられない状態です。
できないことばかりに目を向けるのではなく、「今日も1日、無事に過ごせただけで満点」と、がんばった自分を肯定してあげる心の余白が必要です。
他人の評価や「どう思われるか」を気にしすぎている
「まわりから嫌われたくない」「がっかりされたくない」という気持ちが強いと、行動の基準がすべて「他人軸」になってしまいます。
他人の機嫌や評価にいつでもアンテナを張っているため、自分の「こうしたい」「これが心地いい」という本音がどんどん分からなくなってしまうのです。
他人の人生ではなく、あなたの人生を生きるために、少しずつ「他人軸」から「自分軸」へと意識を戻していきましょう。
今日からできる!自分を大切にする具体的な方法

自分を大切にするといっても、ライフスタイルをガラリと変える必要はありません。日常のほんの小さな選択を変えるだけで、心は少しずつ満たされていきます。
まずは、今日からすぐに試せる具体的な方法を一覧で見ていきましょう。
- スマホを置き「何もしない時間」を作る
- 日記に「できたこと」を書いて褒める
- 感情をノートに書き出す
- 気が進まないお誘いは優しく断る
- 睡眠と食事の質を少しだけ上げる
- 日常に「小さなご褒美」を散りばめる
- お気に入りの香りで五感を満たす
ここから、それぞれの方法について詳しく解説します。あなたに合いそうなもの、ピンとくるものから試してみてくださいね。
スマホを置き「何もしない時間」を作る
現代人は、気づかないうちにスマホから膨大な情報を受け取り、頭や心が休まりにくくなっています。
1日に5分だけでも構いません。スマホを遠くに置き、ただぼーっとしたり深呼吸をしたりする「何もしない時間」を意識的に作ると、情報でいっぱいだった頭が少し落ち着きます。
その結果「本当はいま何をしたいか」「どれくらい疲れているか」といった、自分の本音や体調の変化にも早く気づけるようになります。
日記に「できたこと」を書いて褒める
「今日もあれができなかった」と反省してばかりだと、心がすり減ってしまいます。
夜、寝る前に「朝ちゃんと起きられた」「笑顔であいさつができた」など、どんなに小さなことでもいいので、その日「できたこと」をノートに書き出してみましょう。
自分の行動を客観的に認める習慣をつけることで、「できない自分」ばかりに目を向ける減点方式の思考から抜け出すことができます。
日々の小さな積み重ねを実感できるようになり、少しずつ自分に自信を持てるようになっていきます。
感情をノートに書き出す
モヤモヤやイライラが心に溜まっているときは、頭の中にある気持ちを紙に書き出してみましょう。
誰にも見せないノートなら、きれいな言葉に整える必要はありません。「疲れた」「本当は嫌だった」「どうしたらいいか分からない」など、そのとき感じていることをそのまま書いて大丈夫です。
頭の中だけで考えていると、同じ悩みがぐるぐる回ってしまうことがあります。一方、文字にして感情を可視化することで、自分が何に傷ついたのか、何を我慢していたのかに気づきやすくなります。
気持ちを書き出すことは、自分の心の声を受け止める時間でもあります。うまくまとめようとせず、まずは今の気持ちをそのままノートに預けてみましょう。
気が進まないお誘いは優しく断る
「断ったら申し訳ない」「関係が悪化するかもしれない」という不安から、気が進まない誘いに無理をして参加することは、時間と精神的エネルギーを大きく消耗する原因になります。
自分のリソース(時間・体力・お金)は有限です。気が乗らないときは、「今回は都合がつかないため、また次の機会に声をかけてね」と、相手への配慮を示しつつも明確にお断りしましょう。
自分の意思で境界線を引くことは、他人に振り回される「他人軸」の生活から脱却し、自分の生活の主導権を自分に取り戻すために大切なステップです。
睡眠と食事の質を少しだけ上げる
心の余裕がないと感じるときは、睡眠不足や休養不足、日々のストレスが重なっていることがあります。そのため生活リズムを見直し、休める時間を確保することも、自分をいたわる方法のひとつです。
厚生労働省の運営サイト「こころの耳」でも、疲労蓄積ケアの方法として良質な睡眠を挙げているほか、その重要性について解説しています。
睡眠とメンタルヘルスに関する研究報告も多数行われています。たとえば、日本で成人を対象とした研究では、睡眠による休養感が低い者ほど、抑うつの度合いが強いことを示唆する結果が出ています。「健康づくりのための睡眠ガイド2023」においても、睡眠の質は「睡眠休養感」と表現されており、睡眠による休養感が重視されています。
引用元:厚生労働省「こころの耳」
いつもより30分早くベッドに入って睡眠時間を確保したり、普段の食事にタンパク質やビタミンを含む食材を1品プラスしたりといった、小さな改善を試みてください。
身体のベースが整うことでストレス耐性が高まり、ネガティブな感情に過剰に反応しにくい安定したメンタル状態を作ることができます。
参考元:こころの耳「「疲労蓄積ケアのためのアドバイス(働く人用)」
日常に「小さなご褒美」を散りばめる
大きな目標の達成や特別な記念日だけでなく、日々のルーティンの中に意図的に小さな報酬を設定することは、脳のモチベーション維持において非常に合理的です。
日常に小さな報酬を設定すると、脳内でドーパミンという神経伝達物質が分泌されやすくなります。このドーパミンには、やる気を引き出したり快感を高めたりする働きがあります(※)。
適切な分泌によって、日々のタスクに対する疲労感やストレスの軽減が期待できます。結果として、毎日の中に充実感が生まれ、生活全体の満足度を持続的に高まるでしょう。。
「この作業が終わったらお気に入りのコーヒーを飲む」「週末は好きな映画を1本観る」といった、手軽に手に入るご褒美を考えてみてください。
※参考元:PMC「動機づけ制御におけるドーパミン:報酬、嫌悪、覚醒」
お気に入りの香りで五感を満たす
あれこれ考えすぎて心が休まらないときは、お気に入りの香りに頼ってみるのもおすすめです。心地よい香りに包まれると、張りつめていた気持ちがふっとゆるみ、がんばりすぎた心を休ませやすくなります。
嗅覚は、五感のなかでも感情や記憶、自律神経に関わる脳の領域と結びつきが強い感覚です。香りをかいだ瞬間に気分が落ち着いたり、懐かしい記憶がよみがえったりするのは、においの情報が感情に関わる脳の働きと深くつながっているためです。
たとえば、お気に入りの香りのハンドクリームを塗ったり、お部屋でアロマを焚いたりしてみましょう。好きなハーブティーを淹れて、湯気と一緒に香りをゆっくり吸い込むだけでも、心を落ち着けるきっかけになります。
「今日は少し疲れているな」と感じたら、好きな香りをそばに置いて、自分のためにほっとする時間を作ってみてください。
自分を大切にすることで訪れる素敵な変化

自分を大切にする習慣が身についてくると、あなたの内面だけでなく、日々の生活や人間関係にも驚くほどポジティブな影響が現れ始めます。
自分を一番に労わった先に待っている、素敵な変化をあらかじめ知っておきましょう。
- 他人の目が気にならなくなり生きやすくなる
- 自分の「好き」や「心地よさ」が明確になる
- 心に余裕ができ、周囲にも優しくなれる
ここから、それぞれの変化について詳しく解説します。
他人の目が気にならなくなり生きやすくなる
自分を大切にすることは、他人の評価に振り回されない、自分だけの「揺るぎない軸」を手に入れることに繋がります。
「自分がどうしたいか」を行動の基準にすることで、他人の機嫌や「どう思われているか」ばかりを気にするループから抜けられるためです。
たとえば、SNSの反応に一喜一憂しなくなったり、まわりの意見と違っていても堂々と自分の好きな選択肢を選べるようになります。
自分の「好き」や「心地よさ」が明確になる
日頃から自分の小さな本音に耳を傾けていると、自分が何に対して喜びを感じ、何にストレスを感じるのかがハッキリと分かるようになります。
これまでは他人の都合ばかりを優先して麻痺していた感情と丁寧に向き合うことで、脳が「自分の本当の望み」を敏感にキャッチできるようになるからです。自分の内側の感度が磨かれることで、自分を喜ばせる選択がどんどん上手になっていきます。
たとえばお部屋に飾るお花の種類や、休日の過ごし方、新しく始める趣味など、日常のあらゆる選択に迷いがなくなります。
まわりの意見に流されず、自分の「好き」に囲まれた心地よい暮らしを作れるようになることで、日々の生活の充実度が高まるでしょう。
心に余裕ができ、周囲にも優しくなれる
自分を大切にできるようになると、心に大きな余白が生まれ、結果としてまわりの人たちにも本当の優しさを持って接することができるようになります。
なぜなら、自分の心が不満や疲労でいっぱいの状態では、他人に分け与えるエネルギーが残っていないからです。まずは自分自身の心を満たしてあげることで、初めて他人のことを思いやる心の体力が生まれます。
たとえば、いつもならイライラしてしまう他人の小さなミスに対しても、穏やかな気持ちで受け止められる瞬間が自然と増えていきます。
「自分を優先することは、まわりの人を幸せにすることにも繋がっている」という素敵な好循環を、ぜひ実感してみてくださいね。
まずは小さな「自分を大切にする方法」から始めよう

自分を大切にすることは、今の生活や性格をガラリと変えることではありません。日常のほんの小さな選択の中で、自分の「本音」を優先してあげることこそが、本当の意味での自愛です。
まずは今日、お気に入りの香りのハンドクリームを塗る、あるいは自分のために温かい飲み物を一杯用意することから始めてみませんか?
あなたが自分自身の最大の味方になれたとき、毎日の景色はもっと穏やかで、心地よいものへと変わっていきます。まずは今日、あなた自身を一番に労わってあげてくださいね。

